
子育ては苦労や心配が絶えないもの。まして、自閉症のお子さんと暮らすご家庭では、より一層配慮や工夫が必要なケースも多く、困難や課題の大きいご家庭もあることでしょう。
今回は、自閉症の子どもたちの日常生活でのサポート方法について簡単にまとめてみます。
まずは、日常生活での困難や課題について見ていきましょう。前回の記事でも書いたように、ひとくちに自閉症と言ってもその症状や困りごとは多様ですから、あくまでもざっくりとした傾向の話です。
(1)コミュニケーションの難しさ
自閉症の子どもたちは、コミュニケーションが苦手なことが多いです。たとえば、友だちと遊んでいる時に、会話のキャッチボールが難しいことがあります。
これは、言葉や感情、文脈などの理解が得意でないためです。
(2)繰り返し行動や強固な固定観念
自閉症の子どもたちは、繰り返し行動や固定観念が強いことがあります。これは、彼らにとって安心感を得られるためです。予期せぬ状況変化に弱く、過度なストレスを感じたり、その結果として自制が効かなくなることから、特定の状況へのこだわりが強くなりがちです。
しかし、周りがどこまで配慮しても、突発的な状況変化を0にすることはできません。そのため、日頃から少しずつ、変化に対応するトレーニングを行う必要があります。
(3)感覚過敏や不安への対処
自閉症の子どもたちは、感覚過敏であることが多く、音や光などの刺激に敏感です。そのため、多くの人にとってなんの刺激もない日常的な場面でも、自閉症の人にとってはストレスフルに感じられたりします。(道路工事などの騒音に悩まされる状況が日常的かつ頻繁に起こるような感じです。)
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それでは、これらの困難や課題に対して、どのように家庭でサポートしていくことができるでしょうか。以下に要点をまとめてみます。
<安定した環境の提供>
自閉症の子どもたちにとっては、定型発達の子以上に安定した環境が大切です。リビングや寝室など、彼らが過ごす空間を整え、落ち着ける場所を提供しましょう。
また、過敏な感覚に配慮し、騒音や明るすぎる照明などを避けることも大切です。聴覚過敏などに配慮したセンサリールームなどの取組が少しずつ広まってきています。
センサリールームとは、音や光を抑えた刺激の少ない空間のこと。海外では、デパートや駅などの騒音の大きな場所に個室として提供されているようです。日本でもスポーツ観戦施設などで少しずつ導入されるようになってきました。
参考
https://yogibo.inc/sensoryroom/
<コミュニケーションスキルの向上支援>
コミュニケーションが苦手な子どもたちには、家庭での練習が役立ちます。一緒に絵本を読んだり、簡単な会話を繰り返し行うことで、コミュニケーションスキルを向上させることができます。
また、感情表現を豊かにするために、絵や写真を使って感情の理解をサポートすることも効果的です。
<ルーティンの尊重と変更への対応>
自閉症の子どもたちは、ルーティンが大切です。毎日のスケジュールを決めて、それを守ることで安心感を得られます。周りから見ると過剰なこだわりに感じられることも少なくありませんが、基本的には黙って見守ることが大切です。
しかし…
そうは言ってもこだわりを無限に尊重することはできません。また、社会生活では急な状況変化を完全に0にすることもできません。ですから、状況や予定が変化した時や変化が予測される場合には、可能な限り早い段階で変化の内容と理由を伝えることが大切です。
自閉症の特性としてよく「感情や文脈を理解できない」と言われますが、「一般的な会話では理解しにくい」というのが正確な表現のように思います。
つまり「本人にわかるように論理的に説明する」のが大事ということですね。
<兄弟や家族全体へのサポート>
自閉症児のこだわり行動や変化への拒絶反応は、時に兄弟たちにも影響を与えます。兄弟姉妹にはなんの罪もないことですが、自分たちの生活リズムが乱されてしまうことも少なくありません。
また、保護者が自閉症の子の対応に追われるあまり「かまってもらえない」などの不公平感をつのらせてしまうこともあるでしょう。
ですから、兄弟姉妹にも自閉症についての知識を伝え、特性と望ましい対応を理解してもらうことが大切です。その際には、「自閉症の子のために」ではなく、適切な対応を取ることで自分たちへの嫌な影響を軽減することができると伝えてあげることも大切です。
可能な範囲で一緒にサポートしてもらいつつ、その一方で自閉症の子に手がかかってしまうことを踏まえ、兄弟姉妹の気持ちにきちんと寄り添うことで、家庭内の平穏を保つことができるのではないでしょうか。
お子さんが抱える困りごとに寄り添い、一緒に乗り越えていくことが大切です。家族全体で力を合わせて、お子さんのサポートに取り組みましょう。
まとめ
自閉症のお子さんへの日常生活でのサポートには、コミュニケーションの難しさや繰り返し行動への対応、感覚過敏や不安への対処が必要です。安心・安全な環境の提供を基盤に、コミュニケーションスキルの向上支援やルーティンへの尊重、状況変化への丁寧な対応が大切。
まめの木では、お子様への支援とともに、保護者の皆様への情報提供やお悩み相談にも対応しております。お子様との関わり方だけでなく、家庭内でのストレスや不満の整理にも可能な限り対応させていただきます。
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